人生初 映画撮影現場
ワークショップを経ていよいよ映画「こどもの国」の撮影です。本当に、いよいよです。出演する子ども達と同様、この日を待ってました!初めは朝6時の読谷のラジコン場に集合です。まず最初に撮影するシーンは映画の稽古でも練習したシーンです。ラジコン場横の坂道からです。「はい!本番!」「スタート!!」ついに始まりました!
撮影現場初の私はお作法がわかっておらず、、、「キャスト(役者さんのことです)の視界に入ってはダメ」「看板や車に自分の姿が映り込む事があるので注意」などなど、、、冷静に考えればわかる事ですが、、なるべく離れて様子を見守っていました。
で、、、見守っていただけかと言うと、、そうではなく、、、ここから仕事がいっぱい!次の現場に行ってキャストを待ち受けたり、撮影が終わったらキャストと一緒に次の現場に移動したり、、撮影が終わったキャストを保護者の皆さんに受け渡したり、、始まる前はあまりその仕事のイメージがなくオロオロしてました。その日は東京から村岡プロデューサーも来ていてくれて色々指示してくれたおかげで大きな混乱もなく無事でした。モノづくりの現場です。納得のいく素材が撮れるまで時間が掛かります。音楽のレコーディング現場もそんな感じです。時間が押す(予定より長くなる)事は茶飯事です。そうすると次の現場は待ってもらう事になります。そこにケアするスタッフが必要なんです。
撮影後に村岡プロデューサーに「1ヶ月掛かってロケとかする時はこれが毎日続くんですか?」聞くと「もっと大変だからものすごく細かい香盤表(誰がどのシーンで出て何時に一旦ハケて何時にここにもう一度きてもらって、、、とかが示された表)を作ります」だそうです。。「段取り悪いと大物俳優さんは怒って帰る」制作班という部隊が取り仕切るそうです。怒涛の二日間でした。
ガマの事
いくつかの撮影シーンがある中でガマのシーンについて。
ガマとは、、、沖縄には多くの鍾乳洞があります。戦時中はそのガマは防空壕として市民が逃げ込んでいました。平監督はガマを撮影のワンシーンとして選択されました。今回は読谷村のシムクガマ。このガマでは戦時中に亡くならた方はいないそうです。近くのガマでは、、残念ながらそうでは無いらしいです。。。私の知らない戦争の爪痕がありました。そもそもガマという言葉自体も知らなかったです。
ラジコン場のシーンで、、、車に乗っている子ども達が後から乗ろうとした子ども達に絶対に乗らせずに追い払うシーンがあります。このシーン。台本で読んだ時は場面の意味がわからなかったのですが、、、沖縄の人に聞いたら「ガマの事だよ」戦時中に逃げて来た人で溢れてるガマにもうこれ以上入れない。という場面の事だと教えてもらいました。沖縄の人たちには説明のいらないシーンだそうです。私たちナイチャー(沖縄県以外の人)は知らない戦争の事実です。
さて、ガマのシーンは、、、実はこの時間キャストの相手をしていて撮影は立ち会ってないです。。。でも、結構な時間を割いて撮影していました。どうやらエンドロールの画に使われるそうです。(変更になるかも。。)
子ども達
さて、子ども達。小学生から高校生までの幅広いキャストの年齢層。緊張している子やはしゃいでいる子、様々です。でも、全体的にちょっと、まだ、元気なかったね、。朝、めっちゃ早かったもんねー。
一人の女の子。ワークショップにも稽古にも参加してくれてた子です。でも、ずっと隅の方にいました。後で聞きましたが普段は人がいるところにもあまり出てこない子だそうです。平監督は全員の子ども達を出演させるつもりでいてくれました。その子の関係する方からも「セリフは無くても良いから出演させてほしい」と。監督は快諾してくれました。二つ目の現場からの出演です。たった一人で知らない子達や大人たちと一緒に行動してました。私でも下を向きたくなるシュチュエーションです。最初のシーンが終わりお昼ご飯。ずっと下を向いていたこの子にちょっとずつ変化が。撮影スタッフとご飯のやり取りをしているところから。です。このスタッフが天才なんです。人の心に寄り添うのが凄い。この女の子がみるみる変わっていきます。次の現場に行く車の中では歌を歌ってました。稽古中に見せた事がない姿です。もう大丈夫です。次のシーンでは元気に撮影に臨んでました。一緒のキャストとも仲良しになってます。次の日はスマホを持って来てみんなと画面見ながらキャッキャしてました。2日目の撮影も無事終わりお母さまが迎えに来られた時私に満面の笑みで手を振ってくれました。心の中でオッシャー!!とガッツポーズです。
監督の事
平一紘監督。撮影までに何度か一緒に飲みました。監督の「おかあの羽衣」が好きでその映画の話もいっぱいしました。そんな監督。撮影の日はアーティストとしてスイッチが入ってました。あんだけ一緒に飲んでいるのに、今日の監督は近寄りがたい。もちろん良い意味です。作品を作り上げる最高の状態なんだと思います。恐らくですが、、周りは目に入ってない、台本とキャストと作品の事しか頭の中には無い。手前味噌ですが、、音楽にもこんな場面があります。アーティストにスイッチが入った状態です。でも、たまに、それがピリピリする状況を作り出す事があります。私、めちゃ嫌いです。平監督は稽古の時に仰ってましたが全くピリピリした感じは無いです。ヤンチャな子にも優しく丁寧に接します。現場は優しい雰囲気です。でも、飲み屋で話しているようには話しかけられない。オーラが神掛かってました。そんな監督に終わってからの感想を聞きました。「めちゃ楽しかったーーー!」とにかく子ども達に楽しんでもらいたいとの思いで進めたそうです。「普段ならもうワンカットって思うところを今回はやめた。それがかえって良かった。ちゃんとエンタメになってる!」それを聞いていたカメラマンさんが「今回めちゃ楽しそうだったなー」って監督に声かけてました。
もう、良い作品になる予感しかない!!!!