6月17日(土)18日(日) 映画ワークショップ

6月17日(土)18日(日)に”たてよこ+コラボ映画ワークショップ”が沖縄県の銀天街にあるECL(エンカレッジコミュニティラボ)にて開催されました。33人の子ども達が参加してくれました。

たてよこ+って?

わたしたちの取り組みに欠かせないNPO団体であるエンカレッジさんの企画です。子どもたちがワークショップを通じて心とスキルが成長する機会を得る。そんなことをしている、定期企画です。普通のワークショップと違うのは講師の人生、考え方も一緒に学んでしまいましょう!というスタンスで展開されています。

講師のみなさんが、プロになるまでの歩んできた人生、考え方、人生の分岐点で何を思ったのか、など普段聞けない奥深いところも一緒に学べる体験です。ハイ祭とコラボして、第1回目のワークショップがたてよこ+です。

プロのスキルを身につけるのに何を感じ、想い、考えたのか、めちゃ良い学びだと思います。私自身 すごく聞いてみたい!こちらに過去のたてよこ+が動画として残っています。こちらからどうぞ
今回の映画監督セッションも収められています。

今回はハイ祭〜子どもの居場所フェス〜で制作される映画のたてよこ+ワークショップです。東京から大森立嗣監督がやってきてくれました。大森監督のキャリアはこちらです。今日本のトップの監督です。日本の多くの若手の俳優さんや女優さんが大森監督の演出を受けたがっているそうです。

大森監督が監督したマザーと言う長澤まさみさんが主演の映画がありまして…この子役の奥平大兼さんはこの映画が初演だったそうです。大森監督は映画のプロデューサーに頼まれ撮影前にワークショップを施したそうです。

見事に奥平さんはその映画で新人賞を獲得!

そんな大森監督が沖縄のみんなに演技指導というわけですね。

そのたてよこ+の数日前に大森監督からたてよこ+で使用する台本が送られてきました。『ゴドーを待ちながら』(サミュエル・ベケット)です。後日、演劇関係者から聞いたのですが「大人でも超むずかしい脚本、世界一難解な脚本」だそうです。読んでみるとさっぱり意味が分からない。。

もちろん脚本なんて読んだことがないのでなおさらですが…にしても…子どもたちがわかるはずがない。監督、間違えて送ったのかも?なんてありえないことを考えながらたてよこ+の日を迎えました。

マジックにかかったような時間?

このブログはその日のことを思い出しながら書いていますが、、、いやぁ、、、マジックに掛かったような時間でした。本当に凄かった。中でも凄かったのは、、大森監督のアドバイスで子どもたちがどんどん変わっていくことでした。例えば、、、

この難しい脚本を子ども達ながらに必死に理解しようとして演技をしていきます。とにかく初めは好きにやってもらっていました。その後いろんなアドバイスが飛びます。

子どもたちなりに必死に感情を作ろうとして演技します。すると「その演技はいらない。それはテレビで見た誰かの演技。ではなくあなたの芝居が欲しい」分かりやすく言うと「自分だけで感情を作っている。感情は相手の感情を受けてどう感じるかを表現してほしい。それがあなたの芝居」
すごい。
音楽と一緒じゃん。
音楽も一人では作らない。
毎日違う他の誰かとその瞬間を表現するために技術を磨きます。

私は若い頃、大先輩のドラマーに「ドラム上手になりたいです。どんな練習したら良いですか」と聞くと「かわい子ちゃんとたくさん遊べ。美しい景色をたくさん見ろ。映画などの芸術作品にたくさん触れろ」?????でした。
もっと技術的なことを言ってくれるかと思っていました。
当時は「もっと真面目に答えてくれーーー」と真剣に思っていました。
が、、、自分が技術を重ね、経験を重ねていく上で音楽を表現するのに何が大切かわかってくるとこの大先輩のおっしゃっていることが身に染みてきました。
私なりの解釈ですが、、、要は「感じろ」です。

どう感じるかも大切です。
目の前に起きていることに鈍感になっていては感じられません。
感じても振り幅が狭かったらそれまでです。

自分の感情をいつでもスイッチオンできるように解放できるかどうか?
そのためにいつも何かを感じていることができるか?それができていれば感情は自然に上がってきます。
監督も「感情は自分であげるものではない。上がってくるのを待て。そのためには感じられる自分を鍛えるべき」
おーーー、一流監督と自分と一緒じゃん!って自己満足した瞬間でした。

閑話休題(自分のことを話していてはだめだとわかっていますが)

監督はそんな話を子ども達にしながら抱き合ってセリフを言ってもらったり、ちょっと離れて芝居してもらったりしていました。
その一つ一つの行いが子どもたちにマジックをかけていきました。

「感情は相手があってのもの」

終盤に差し掛かったところで監督に質問をした子がいました。

「良い演技をするために普段どんな練習をしたら良いですか?」

この問いかけに監督は
「練習はいらない。するなら棒読みでセリフを覚えることくらいかなぁ。」

「やってはいけないこと。悲しい場面だからと言って一人で悲しい感情を作ってはダメ。感情は相手があってのもの。相手と向かい合ったときにどんな感情が生まれるか?それを大事にしてください。その感情こそが芝居につながります。演技でなく芝居をできるように自分の感情を大切にしてください」と答えてくださいました。

完全に私も大森マジックに掛かっていきました。
本当にすごい。
この後監督は子ども達に触れて、街を見て、街を感じて、脚本を書いてくれます。

さて、どんな脚本になるのか?天才大森監督が生み出す作品が待ち遠しくてたまりません!!!

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